四国の伝統的な地場産品として知られる「土佐和紙」。私たちは、薄くてもとても強い世界でも貴重な和紙、その伝統の今を知りたくて、知人のご紹介で鹿敷製紙(株)代表取締役の濱田博正さんにお会いするため2018年2月に高知県吾川郡いの町を訪れました。鹿敷製紙さんは、文化財補修用特薄土佐和紙で高知県第7回地場産業 奨励賞を受賞された国産100%にこだわった原料を手漉き和紙と同じように処理し、和紙を作っていらっしゃるとのこと。
土佐和紙の製造方法をいろいろ教えて頂きました。
土佐の紙漉きの歴史は古く、今から1000年以上前に遡ります。やがて鎌倉時代にはすでに高度な製紙技術がこの地方にあったと推察されています。
土佐和紙の原料は、楮、三椏、がんぴといった植物です。土佐楮は他の産地に比べ、繊維が長いことが特徴だそうです。他では得難い清冽な水と澄み切った空気、手つかずの豊かな自然の恵みがあります。
しかし、そんな素晴らしい環境の中にあっても、それらの植物は減り続けているそうです。その理由は、戦後国策として植えられた杉や檜は、その後需要の低下などから手入れもされぬまま放置され、鬱蒼と生い茂り、環境破壊や花粉の大量発生の元となっています。一方、以前は植林した樹木が育つまでの間栽培されていた楮や三椏も生業として成り立たなくなり、また生産者の高齢化などにより、刈り取られることなく放置されていったのです。
精巧な簀桁(すけた)を作る職人の方も少なくなってしまったそうです。